確定拠出年金相談ねっと認定FP 福田 斉子

2017年 11月 14日

公務員のiDeCoの手続きはどうすればいいですか?

ご相談者様DATA

 

【年齢】 30歳代半ば

 

【職業】 地方公務員

 

【性別】 男性

 

【家族構成】 妻(専業主婦)、子供4歳、1歳

 

 

相談しようと思ったきっかけ(アンケート抜粋)

妻が子供の出産を機に専業主婦になり、子供の教育費や住宅ローンの返済を考えるとどのくらい老後のために必要なのか、どのように貯蓄をしていけばよいのか悩んでいました。昨年から新聞や雑誌などでiDeCoに関する記事をよく見かけるようになり、詳しく知りたいと思い、HPでセミナーをしていることを知り、受講後、個別相談を申込みました。

 

ご相談内容

夫 公務員、妻 専業主婦、子供2人 長女4歳、長男1歳の4人家族です。公務員の年金制度が変わったと知り、将来の計画も変わってしまったのではないかと心配されています。ただ年金制度についてそもそも知識が乏しく、自分の年金制度がどのように変わったのか詳しく知りたい。その上で老後に必要なお金を用意したいのということでご相談にいらっしゃいました。私のことは、確定拠出年金相談ねっとのサイトより、「老後の資産形成」相談の専門家ということで選んでいただいたそうです。

 

 

ご相談でお話しした内容

 

年金制度

 

公的年金制度は、全国民が加入している基礎年金(国民年金)を1階部分とし、2階部分は民間企業のサラリーマンが加入している厚生年金と公務員および私立学校教職員等が加入している共済年金に分かれていました。

しかし、平成27年10月に共済年金が厚生年金に統合されました。

                                   ※厚生労働省「被用者年金の一元化について」より

 

かつて同じ2階建てと言っても厚生年金と共済年金の制度の違いもありましたが、厚生年金制度に統合されることによってこの差異を解消されました。

例えば、

  • 共済年金は加入の年齢制限がありませんでしたが、統合を機に被保険者の年齢制限が厚生年金同様70歳までとなりました。
  • 遺族年金の転給、共済年金は、先順位者が失権した場合、次順位者に支給されましたが(例:遺族年金受給中の子供のいない妻が死亡したとき、一定の場合、その遺族年金が父母等に支給される。)

厚生年金と同様の先順位が失権しても、次順位以下のものに支給されなくなりました(例:遺族年金受給中の子供のいない妻が死亡すると、その遺族年金は支給されなくなる。)

等以上のように、共済年金独自の制度が厚生年金の制度に統一変更されました。

 

 

公務員の共済年金の保険料率は、統合された平成27年10月時点では17.278%(うち組合員負担分8.639%)に対して、厚生年金では17.828%(うち被保険者負担分8.914%)でした。

共済年金、厚生年金ともに毎年0.354%ずつ引き上げられて、厚生年金は平成29年9月~18.3%(被保険者負担分9.150%)に、共済年金は平成30年9月~18.3%(組合員負担分9.150%)と厚生年金同様の保険料率に統一されます。

 

 

厚生年金と一元化されたことにより、職域加算が廃止され、年金払い退職給付となりました。

                               ※出所 人事院資料3「年金払い退職給付について より

 

職域加算の時は、被保険者が亡くなった後も配偶者がその4分の3を終身で受け取ることができました。

しかし、年金払い退職給付は、年金の半分は有期年金、半分は終身年金です。

原則、65歳からの支給となりますが、受給開始年齢を60歳~70歳の間で選択することが可能です。

有期年金は、20年または10年支給を選択。

一時金として受給することの選択も可能です。

本人死亡の場合は、終身年金部分は終了。有期年金の残余部分は遺族に一時金として支給されます。

 

ご相談者様のように奥様が専業主婦の場合、モデルケース金額でいうと職域加算の時は、ご主人が亡くなった後、2万円/月×4分の3=15,000円/月が遺族年金にプラスされて受け取ることができましたが、年金払い退職給付では0円ということになります。そして、有期部分が残っている間に亡くなってしまった場合は、その残額(未受給分)を奥様が一時金として受け取ることになります。

 

例えば、65歳から職域加算を受給していた夫が75歳で亡くなった場合

年間24万円×10年間=240万円

夫の死亡後、仮に5歳違いの妻が70歳から90歳まで生きたとして

年間24万円×4分の3×20年間=360万円受給します。

総額600万円の受給です。

 

年金払い退職給付になると

年間10.8万円×20年間(有期払い)=216万円(夫死亡時の未受給分は妻が受給)

年間10.8万円×10年間(夫死亡時で終了)=108万円

総額324万円の受給になります。

 

その差額276万円です。

 

 

3階部分の改正(職域部分の廃止・年金払い退職給付の創設)だけではなく、退職手当の支給水準も約14.9%引き下げられることになりました。

                               ※出所 人事院資料3「年金払い退職給付について より

 

モデル金額で2,707.1万円が2,304.5万円に引き下げられます。退職金が400万円以上下がるとは、とても大きいですね。

公務員の定年退職の場合の退職金計算方法

退職金手当=基本額+調整額

   基本額=退職日給料月額×退職理由別・勤続年数別支給率

   調整額=調整月額のうちその額が多いものから60月分の額を合計した額

※支給率は、退職理由別に、勤続年数1年ごとに計算されます。定年退職の場合は35年以上は一律49.59になります。

 

例えば、ご相談者様の退職金は、大学を卒業後に公務員になり、60歳定年まで働いて、基本月額が仮に40万円だった場合

減額前40万円×59.28=2,372.2万円

        ⇓

減額後40万円×49.59=1,983.6万円

差額387.6万円になります。

(調整額について個人の区分により異なるため計算に入れていません)

 

職域加算と退職金を合わせると、制度が変わったことで663.6万円少なくなります。

 

このように公務員にとって、老後生活への備えを自助努力によって行う必要があります。

ご相談者様は、老後の資産形成を行う手段としてiDeCoに注目されました。

 

 

公務員のiDeCo

 

平成29年1月1日から公務員もiDeCoに加入できるようになりました。

iDeCoは加入者によって拠出限度額が決まっています。

 

                                            ※出所 国民基金連合会より

 

公務員の場合は、年金払い退職給付があるので月の拠出限度額は12.000円になります。

会社員の方も企業年金のある場合は12,000円ですから、この年金払い退職給付は企業年金と同じ扱いになります。

 

 

加入するときは、まずご自身で運営管理機関を決めます。

運営管理機関を決めるときに確定拠出年金ナビを参考に、手数料の安いところを中心に検討されると良いと思います。

www.dcnenkin.jp/search/commission.php

 

運営管理機関を決めたら、資料を請求します。

その時に共済組合員用を請求してください。

加入している年金制度ごとに申込み用紙が異なります。

 

 

会社員や公務員などの厚生年金の被保険者は、申込み当たってお勤め先の事業主に証明書を記入してもらう必要があります。

また、公務員・私学共済加入者がiDeCoに加入する場合は、加入申し出前に事業所事前登録の手続きが必要になりますから、職場で確認をしてください。

事業所登録というのは、国民年金基金連合会に対して行う手続きです。各事業所は、加入を希望する従業員が、厚生年金保険の被保険者であることや企業年金等の実施状況と加入資格の有無について、証明書を提出する義務があるのです。

 

また、掛金の拠出方法には「事業主払込」と「個人払込」があります。

「事業主払込」とは、加入者から給与天引きで掛金を徴収し、事業主が加入者本人に代わって国民年金基金連合会に掛金を拠出する方法です。

事業主払込を選択した場合、毎月の給与天引きと源泉徴収もしてくれるので、年末調整での手続きは不要になります。

掛金を変更する場合は、運営管理機関に届け出を送りますが、その写しを事業主にも提出して拠出額の不足がないようにしてもらいます。

 

「個人払込」は、加入者が指定した口座から掛金が引き落とされます。

掛金を変更するときも事業主に届出をする必要はありません。

毎月の源泉徴収がないので、年末調整で「小規模企業共済等掛金控除」として税金処理をしてもらいます。

手続きは生命保険料控除と同じで、10月~11月頃に送られてくる「小規模企業共済等掛金控除証明書」を年末調整の時期に事業主に提出してください。

 

 

手続きは少し面倒に感じるかもしれませんが、iDeCoを資産形成の1部に入れることで税制優遇を受けることができます。

  • 掛金が全額所得控除されます。

        例えば、毎月12,000円づつ掛金を拠出した場合、税率20%の場合、年間28,000円の節税効果となります。

  • 運用益が非課税

        通常、金融商品の運用益には税金(源泉分離課税20.315%)がかかります。

  • 受け取る時も税制優遇措置があります。

        一時金として受け取る場合は「退職所得控除」、年金の場合は「公的年金控除」というおおきな控除が受けられます。

 

 

 

ご相談者様はご自身の年金制度をしっかり理解して上で、iDeCoに加入されることに決めました。次回は、現在専業主婦の奥様の今後の働き方とiDeCoの加入時期について相談をお受けすることになりました。

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