確定拠出年金相談ねっと認定FP 向藤原 寛

2017年 11月 30日

信託報酬の値下げ競争の中で生じた珍現象

こんにちは、確定拠出年金相談ねっと認定FPの向藤原です。

 

信託報酬の値下げ競争

 

確定拠出年金の法改正でiDeCoに積極的に取り組む金融機関が増え、信託報酬がかなり下がりました。さらに、来年1月からの、つみたてNISAでの採用用件に、信託報酬の安さが求められたこともあり、インデックスファンドを中心にさらに下げ圧力が強まっています。

 

 

投資信託ではどんなコストがかかる?

 

確定拠出年金の投資信託の運用商品では、買付手数料はなく、商品によっては信託財産留保額がかかります。信託財産留保額は、解約する人が、他のファンド保有者に対して払うペナルティとして、ファンドに残す性質なので、手数料とは違い、プラスにも働く可能性のあるコストになります。

 

では、投資信託を保有しててかかる手数料は信託報酬だけなのでしょうか。三菱東京UFJ銀行のiDeCoに採用されている、「eMAXIS先進国株式インデックス」の交付目論見書を見ると、「その他の費用・手数料」という項目があります。具体的には、

・監査法人に支払われるファンドの監査費用

・有価証券等の売買時に取引した証券会社等に支払われる手数料

・有価証券等を海外で保管する場合、海外の保管機関に支払われる費用

・マザーファンドの換金に伴う信託財産留保額

・その他信託事務の処理にかかる諸費用 等

と記載されています。

 

 

資産残高の少ないファンドでのその他の費用の負担には少し注意が必要?

 

2016年1月~2017年1月の交付運用報告書をみると、

・売買委託手数料0.015%

・有価証券取引税0.031%

・その他費用       0.048%(うち保管費用0.043%、監査費用0.003%)

とあり、合計すると0.094%になります。

 

このファンドの期中の平均残高を330億円だったと仮定すると、3,000万円強、そのうちの半分は残高が減ると金額が下がりやすいと思われますが、およそ1,500万円かかっているその他の費用については、残高が少ない場合どれくらい低減されるかには、注意が必要かもしれません。

 

同じマザーファンド、なのに後から設定したファンドの方が、信託報酬が高くなる不思議

 

「eMAXIS先進国株式インデックス」は2009年10月28日に設定されましたが、同じマザーファンドで運用する「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」といファンドが、2017年02月27日に設定されています。さらに「つみたて先進国株式」が同じマザーファンドで運用するファンドとして2017年08月16日に設定されています。

 

3つのファンドのコストを比較すると

ファンド名                        

信託報酬

信託財産留保額

eMAXIS先進国株式インデックス

0.648% 

0.3%

eMAXIS Slim 先進国株式インデックス

0.20412%

なし

つみたて先進国株式

0.216% 

なし

(下の2商品は、その他費用に記載されているマザーファンドの換金に伴う信託財産留保額が0.1%かかるそうです。)

あとで設定したファンドの方が、少し信託報酬が高くなっていて疑問を感じました。

 

運用会社である三菱UFJ国際投信に事情を聞いてみました。「eMAXIS先進国株式インデックス」は先行して販売されましたが、昨今の値下げ圧力の中、関係会社(販売金融機関、信託銀行)との調整が難しく、別立てで、ネット証券、銀行限定商品として、「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」を出しました。販促費用等コストを極力下げ、信託報酬については、他社がさらに下げた場合、競って下げることも視野に入れスタートしているそうです。

 

その後、ネット系以外の金融機関からの要請に答え、つみたてNISAに対応する商品として「つみたて先進国株式」をスタートしています。こちらは今後信託報酬の変更は考えにくいようです。微妙に信託報酬が高くなっていて、なんとも不思議な感じです。

 

さらに同じマザーファンドで運用しているにも係わらず、信託財産留保額まで差があることにも驚きました。

 

 

消費者は益々フィンテックを利用することによりメリットを享受できる時代

 

ネット証券などフィンテックといわれる金融のIT化のさきがけとなっている業態を使うことにより、低コストの恩恵をフルに受けられる現象はさらに広がっていくことになると思われます。仮につみたてNISAで、「eMAXIS先進国株式インデックス」しか取り扱いがない金融機関で利用する場合と、ネット証券で「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」を利用する場合を比較すると、積み立てた残高が20年間の平均で100万円とすると、信託報酬の差が88,776円も生じてしまいます。

 

100万円を0.1%の金利で20年預けても2万円強しか増えない今、インデックスファンドを検討するときには知っておいて損はないないと思います。ちなみに「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」の直近の残高は23億円を超えて順調に積みあがってきており、「その他の費用・手数料」の割合はあまり気にしなくて良さそうです。同じ運用会社、同じマザーファンドで運用する3つから選ぶならこのファンドで良さそうですね。

 

※追加情報・・・2018年1月30日より、「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」の信託報酬は0.11826%に引き下げられました。

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