相談事例集|確定拠出年金(企業型・iDeCo・個人型)の相談事例をまとめました。

相談事例集|確定拠出年金(企業型・iDeCo・個人型)の相談事例をまとめました。

手続きが面倒です、そのまま放置でもいいですか?

ご相談者様 DATA

 

【年齢】 35歳

【職業】 従業員

【性別】 男性

【家族構成】 配偶者、子供2名

 

相談しようと思ったきっかけ(アンケート抜粋)

 

企業型確定拠出年金に加入している会社から、未加入の会社へ転職しました。

書類などの手続きが面倒で、このままだと完全に放置してしまいそうで、専門家に相談しようと思いました。

 

ご相談内容

 

確定拠出年金加入の大企業から、未加入の中小企業へ転職されたご相談者さま。

手続き書類を読むことすら面倒で、なにもされてないとのこと。

このまま放置していいものかよくわからず、ご相談にこられました。

 

ご相談でお話しした内容

 

終身雇用が当たり前ではなくなり、転職することも当たり前の時代です。

企業型確定拠出年金に加入している企業から、未加入の企業へ転職した際には「 移換 」といってお金の移し換えをしなければいけなくなります。

しかし、おっしゃるようにこの運用継続に必要な手続きが、とても面倒ということは良くありますが、老後資金を少しでも増やしたいとお考えなら、放置しないできちんとお手続きをしてくださいね。

 

実際に、2016年3月末時点で約33万人、1,428億円が放置されたままになっています。

参考:毎日新聞「放置、33万人1428億円 確定拠出、転職時手続きせず」

 

 

では、放置したままだと「確定拠出年金」の残高(以下、個人別管理資産)はどうなるのでしょうか?

 

お金は国民年金基金連合会(以下、国基連)に「 自動移換 」されます。

 

そうなると・・・

 

自動的に現金化され、

手数料もとられ、

税制優遇なども受けられず、

資産運用もできず、

その老後資金は徐々に減る一方・・・

 

ということになってしまいます。

 

相談者様のケースであれば、経済状況にあわせ、なるべく無理のない掛金額でかまいませんので、個人型確定拠出年金(以下、iDeCo)への移換手続きをぜひ検討していただきたいです。

 

ではまず、そもそも退職者の確定拠出年金の個人別管理資産(残高)がどうなっていくのか、その流れをご紹介しますね。

 

退職者の確定拠出年金の対応方法

 

以下のうち、いずれかを選択しますが、基本的には脱退はできないケースが多くなります。

 

1、再加入する ※転職先が企業型確定拠出年金を導入している場合

2、iDeCoへ移換する ※転職先が企業型確定拠出年金を導入していない場合

3、放置する ※国基連へ自動移換される

4、脱退する

 

1、再加入する

 

今回、相談者様のケースに該当しませんが、ご参考までにご紹介します。

 

転職先の会社の人事や総務担当者に、確定拠出年金の資産を移換する方法を聞いてください。

前の会社から渡された関係書類を担当者に提出などして手続きできます。

 

前の会社で積立てたお金はすべて加入者の個人財産ですから、再加入した企業型確定拠出年金のご自身の口座に全額入金されます。

 

ただしその手続きの期間は2~3ヶ月かかりますので、忘れずに個人の口座残高をチェックしましょう。

 

2、iDeCoへ移換する

 

国内200社ほどある運営管理機関(窓口となる金融機関)のなかから、iDeCoに加入したい金融機関を選び、資料請求、書類返送などの手続きに2~3ヶ月で移換できます。

※2017年1月現在、各種キャンペーンを実施している金融機関もあります。

具体的な金融機関の選びかた、資料請求などの流れについては、次回改めてご相談を受けることになりました。

 

※参考WEBサイト一覧

iDeCo取り扱い金融機関一覧-iDeCoナビ

運営管理機関登録業者一覧

お問い合わせ先の電話番号、部署、WEBサイト

 

3、放置する

 

企業型確定拠出年金の加入者資格を喪失後6ヶ月以内に、

 

・個人型または他の企業型の確定拠出年金に移換する、

・脱退一時金を請求する手続きを行なう

 

いずれかの手続きもとらなかった場合、国基連から「 自動移換通知 」というお知らせが送られてきます。

自動移換となった個人別管理資産に関する今後の選択肢と手続きの方法についての案内です。

 

資産は自動的に売却、現金化され、約4,000円の手数料が差し引かれた上で国基連に移されます。

※詳細は後述します。

 

4、脱退する

 

国民年金保険料の納付免除等の承認を受けているかたで、下記の全ての脱退要件を満たす場合に、脱退することが可能です。

 

平成28年12月31日以前に加入者資を格喪失している方

1、60歳未満である

2、企業型確定拠出年金の加入者ではない

3、確定拠出年金の障害給付金の受給者ではない

4、最後に企業型確定拠出年金の資格を喪失した日から2年以内である

5、通算拠出期間が3年以下、または年金資産が50万円以下のいずれかを満たす

※iDeCo、または企業型確定拠出年金にも別の口座をお持ちの場合はそれら口座の期間・資産を合算した上で要件を満たしているか判定することとなります。

6、企業型確定拠出年金の資格喪失時に脱退一時金を受給していない

 

平成29年1月1日以降に加入者資格喪失された方

1、確定拠出年金の障害給付金の受給者ではない

2、最後に企業型確定拠出年金の資格を喪失した日から2年以内である

3、企業型確定拠出年金の資格喪失時に脱退一時金を受給していない

4、通算拠出期間が3年以下、または年金資産が25万円以下のいずれかを満たす

※iDeCo、または企業型確定拠出年金にも別の口座をお持ちの場合は、それら口座の期間・資産を合算した上で要件を満たしているか判定することとなります。

 

では、本当に何も手続きせずに放置して自動移換されたままになるとどうなるのでしょうか?

 

自動移換されるデメリット

 

全く運用を継続できなくなるので、資産を増やすことができない

※現金で管理されるため、利息などが全くつきません

 

老齢給付金を受けるための加入者等期間に算入されないので、受給可能な年齢になっても給付が受けられない

※10年以上加入すれば60歳から受け取り可能なので、受給開始の遅延原因になることもあります

※給付を受けるには、個人型確定拠出年金に資産を移換する必要があります

 

自動移換の期間は確定拠出年金の加入期間とはみなされないため、老齢給付金の受給可能時期が遅くなる場合がある

※60歳→最高65歳

 

同様に、退職所得控除を最大限活用できなくなる

 

管理手数料が毎月51円、年間612円が個人別管理資産より差し引かれる

※自動移換にかかる手数料

 

 

退職6ヶ月後 3,240円 + 1,029円 = 4,269円

さらに4ヶ月後の10ヶ月後~24年3ヶ月(291ヶ月)の自動移換先の管理手数料

※自動移換先の管理手数料は4ヶ月後から発生、相談者様は60歳まで25年(300ヶ月)

51円 × 291ヶ月 = 14,841円

合計 23,379円

 

となります。何もしないで2万円以上減らしてしまうのはちょっともったいないですよね。

 

自動移換されたあとの選択肢

 

iDeCoに移換し、拠出(積み立て)を再開する

将来、受給できる年金が充実するとともに、掛金全額が所得控除されるので毎年、支払われる税金が減ります。

 

企業型確定拠出年金に移換し、拠出(積み立て)を再開する

社会保険料を削減できることもあります。

将来、受給できる年金が充実するとともに、掛金全額が所得控除されるので毎年、支払うべき税金が減ります。

 

脱退一時金として受け取る

前述の通りです。

※2018年5月 一定の条件を満たす方については自動移換された資産は、ご本人の手続きなく企業型あるいはiDeCoに移換されるようになりました。詳細こちら

まとめ

 

退職後、転職時などは環境が激変することもあり、あれもこれもやらなきゃということが結構たくさんあり、ただでさえ大変な時期です。

 

確定拠出年金という一見難解でめんどくさい手続きをするだけで力を使ってしまいそうです。実際僕もそうでしたから。

 

でも、あとで後悔するにはあまりにもったいないことです。できるときになるべく早く処理してしまいましょう。

 

このようにちゃんと手続きさえすれば、案外お金は時間で買えてしまうものなのです。

 

最後におまけです

 

国基連に自動移換され、そのままにした場合と、iDeCoに移換し積み立てを継続した場合とのコスト比較をしてみました。

運用とは全く関係ない、管理手数料のみの比較です。

相談者様が35歳ということなので、60歳までの25年間の比較です。

 

自動移換移管された場合の手数料

 

前述の通り、合計23,379円です。

iDeCoへ移換した場合の手数料

 

時価・簿価どちらかの資産残高が10万円以上あれば手数料を安くできる楽天証券でみてみましょう。

 

移換手数料 4,320円

加入手数料 2,777円

口座管理手数料 167円/月 × 12ヶ月 × 25年 = 50,100円

※口座管理手数料の内訳:国基連 103円 + 信託銀行 64円 + 楽天証券(運営管理手数料) 0円 

合計 57,197円

 

個人別管理資産を維持するだけでかかるコストとしては、自動移換のほうが安くなっています。

全く確定拠出年金の必要性を感じないのであれば、自動移換もありです。

 

ですが、ご相談者様にはご家族もあり、年金不安を抱えたまま老後を迎えたくはないとのご意見をお持ちで、今回も放置したままではなく、きちんと手続きされることを選ばれました。

 

とても素晴らしいご決断だったと思います。

後日手続きが完了したら、運用のご相談にお越しになる予定ですので楽しみにしています。

 

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野原 亮
【 東京・千葉・神奈川 】現東証1部上場の証券会社に入社後、個人営業・株式ディーラーとして従事。3年目に新人教育担当主任として3名の営業指導にあたる。口座残高が当初20万円のお客様が2,000万円になったことも。その後、営業マーケティング会社に転職。生涯担当顧客は1,000名超。 2016年に確定拠出年金専門のファイナンシャルプランナーとして開業。法人への企業型確定拠出年金制度の導入を中心に、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)制度の普及にも努めている。 生活に密着したお金の話は「人生有限、貯蓄無限」と考え、いまの生活を守るための貯蓄を専門としている。 2017年、DVD「一人社長・夫婦経営のための確定拠出年金」を出版。

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