iDeCoで金融機関が倒産したらどうなりますか?

ご相談者様 DATA

【年齢】25歳

【職業】建設会社の事務員

【性別】女性

【家族構成】独身・実家から通勤している

相談しようと思ったきっかけ(アンケート抜粋)

ファイナンシャルプランナーの村松さんに、母が以前から保険のことや貯蓄のことでお世話になっています。母が村松さんの会社が発行する情報誌でiDeCoの制度を知り、母のススメもあり、私も村松さんに相談のうえ、始めたいと思っています。

実家から通っているので、毎月5万円の積み立ても可能ですが、このお金は結婚・子育て・住宅取得という未来の夢の実現のため、アドバイスいただきたいです。

ご相談内容

60歳までという、すごく長期間に預けるお金になるので、iDeCoを始めるとしたら、倒産しない会社を選ばなければいけないんですよね。それでも、倒産したとしたら、お金はなくなりますよね。そう思うと、iDeCoの手続きを進めるのが心配になります。

 

ご相談でお話しした内容

 

60歳までiDeCoを継続すると、期間は35年ですね。ご心配はごもっともですが、今からその心配を限りなく小さいものにして差し上げます。

 

まず、iDeCoには3つの金融機関がかかわっています。

 

1 申込の窓口となる金融機関 「運営管理機関」と呼びます。

2 お金を運用する金融機関  銀行や保険会社、それに投資信託を運用している会社などです。

3 お金を管理する金融機関  信託銀行が担当します。

 

このおのおのについて、倒産した場合、お客様のiDeCoのお金がどうなっていくか確認してみましょう。

 

まず、申込の窓口となる金融機関がつぶれた場合

iDeCoのサービスを提供する窓口ですから、つぶれた場合に、一時的に運用の指示ができなくなったり、他の窓口に資産を移し替えたりする手間が生じることが考えられますが、この窓口では、お客様のお金を預かっていませんので、お客様のお金が消えてしまうような心配は無用です。

 

お金を運用する金融機関がつぶれた場合

iDeCoの場合、お客様みずからが運用する商品を選びます。その選んだ商品ごとにお金を守る仕組みが違います。

 

定期預金など銀行の商品を選んだ場合

ペイオフの対象になりますので、1000万円までは国が保証してくれます。

 

保険会社の商品を選んだ場合

生命保険契約者保護機構、損害保険契約者保護機構の守備範囲で守られます。責任準備金という保険独特のお金の考え方の範囲で9割は保障されています。

 

投資信託を選んだ場合

投資信託には、iDeCoの仕組みと同じように3つの金融機関がかかわっています。窓口はお金を預かっていませんので心配いりません。

運用会社は直接、お客様のお金を預かっていませんのでこちらも心配いりません。

受託会社というところがお客様のiDeCoのお金を管理しているところで、こちらがつぶれると大変なように思えますが、分別管理といって会社の財産とお客様の財産を明確に区別して管理するように、当局から厳しく監視されていますので、お客様のiDeCoの財産に会社が手を付けることは実際、不可能です。

 

最後の金融機関、お金を管理する信託銀行がつぶれた場合。

これも、直前でご説明した分別管理が徹底されている領域です。信託銀行がつぶれても、お客様のお金が会社の経営に使われることはありません。新しい信託銀行が登場して、継続して管理されることになります。

 

以上、iDeCoのスタートにあたって、金融機関をつぶれる可能性を考慮して選ぶ必要はありませんので、ご安心ください。

 

このように、iDeCoは国の制度として加入者のお金がなくならないよう、しっかりとした仕組みが出来ていると思ってください。

 

iDeCoに対する心配は、吹っ切れましたね。でも、iDeCoにおいて、もっとも大切なことは運用です。なぜなら、定期預金という元本確保型を選ぶと、せっかく将来のための積み立てを若いときから始めるのに、低金利では十分な資産が作れないこともあるからです。

 

それから、年金という制度が過去に不安定になってしまったことが日本でも、何度かあったんです。その原因は何だとおもいますか?

 

人口減少? 消えた年金記録?

 

実は、もっと深刻な事態におちいったことが過去80年でも2回あったんです。

それは、インフレです。

1度目は戦後のインフレ。戦中に始まった国の年金制度は、満州鉄道に投資していましたが敗戦で、その株券は紙切れになってしまいました。そしてその後に続く敗戦後のインフレで、お金の価値がどんどん減ってしまったのです。

 

2度目のインフレは、高度成長にともなうインフレ。列島改造ブームというものがあって、物価やお給料が考えられないように値上がりしていった時代があったんです。1973年ごろの出来事です。そのとき、物価は1973年で11.7%、1974年で23.2%と上昇しました。でも、お給料も1973年で20%、1974年で33%上昇したので大混乱にはならなかったわけです。

 

でも、この時ほとんど金利の付かないもので運用していたとしたら、自分のお金はどんどん価値がなくなっていったわけです。

今、日本の政府はインフレを起こそうとしていますので、歴史を踏まえて運用先を選んでいくこと。そのアドバイスが一番大切な部分ですね。

 

この方とは、これからも1年に1度のペースで、運用の確認と今後の人生でのお金のアドバイスを続けていくことになりました。

この記事を書いた人
村松 繁

長期資産運用アドバイザーとして20年以上。独自理論でお客様をファイナンシャル・フリーダムへ導きます。

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