iDeCoのブラックヒストリーって知ってますか?

FP相談ねっと 代表山中伸枝 2021/3/2追記

確定拠出年金が2017年にiDeCoに生まれ変わり3年以上が経ちました。

この間2018年には、iDeCo+(中小事業主掛金納付制度)が始まり、そして2022年にはいよいよ全国民iDeCo時代が始まります。

iDeCo+とは300人以下の会社さん、iDeCoに加入している社員に対して会社が掛金を拠出してあげてねという制度です。国が定めたのですから該当するような会社にお勤めの方なら会社に申出をしてもいいですよね。

そして全国民iDeCo時代というのは、これまで企業型DC(確定拠出年金)に加入していた方は、会社からの掛金がとても少ない、けれどiDeCoはできないと少し窮屈な思いをされていたかと思います。それが、会社のDCとは別にiDeCoができるようになるのです。

つまり、会社DCとiDeCoの口座、二つが持てるようになるんですね。個人的には、この二つの口座の資金移動ができるようにして、会社を辞めても投資商品を売却せずに持ち運べるようにぜひなって欲しいと願っているのですが、そこまではまだですね・・・きっとまた変わることを願っています。

このように、長期の資産形成をだれもができる環境が整ってきたということはとてもすごい!!ことです。ただ、資産形成ってそんな簡単なものじゃないのも事実

ではどうするか?

やはりアドバイザーでしょう。言ってみれば家計の筋トレのトレーナーがファイナンシャルプランナーと言えるのではないでしょうか?

現在私が運営するFP相談ねっとに登録するFPは50名程度おります。みなさんにとっておつきあいしやすいFPをぜひ探して相談してみてください。

こんにちは、確定拠出年金相談ねっと代表の山中伸枝です。

iDeCoって良い良いって話をよく聞きますよね~、確かに良い制度ですよ。税制優遇大きいですから。

iDeCoっていうのは、確定拠出年金個人型のニックネームです。昨年9月に公募で決まった新しい名前です。

でも、確定拠出年金って2001年からあって、日本にできてもう15年以上経っているんですよね。でもこれまであまり聞いたことなかったでしょ?カクテイキョシュツネンキンなんて・・・

少なくとも、今みたいに新聞や雑誌などで目にすることもなかったと思うし、ましてや書店で関連書籍が平積みになるなんてなかったんです。

一体なにが起こったの?

実は確定拠出年金が歩んできた過去15年は、言ってみればブラックヒストリー、えっ、確定拠出年金?それってダメでしょ?って言われ続けた歴史でした。

そもそも確定拠出年金は、厚生年金基金の救世主として日本にやってきました。アッ、会社にとってのね(笑)

厚生年金基金というのは昭和40年代から急速に広まった企業年金です。厚生年金という国の保険料を借りて、そのお金を運用し、うまく利益を出して自社社員のための上乗せ年金にしちゃおうぜっていうとっても「いい感じ」の福利厚生制度です。

でもうまくいっていたのは平成5年くらいまで・・・バブルもはじけちゃうと、運用がうまくいかず国から借りた厚生年金保険料も返せないくらい損失が膨らんできちゃって、どうする、これ?って状態になりました。

借りたもんは返さないとまじーし、社員だってさ、上乗せ年金期待しちゃってるし、どうすんのよ?やべーじゃんってことで白羽の矢が立ったのがアメリカにあった401kという仕組み、確定拠出年金です。

おっ、これいいじゃん。運用責任は社員に転嫁できて、会社は肩の荷おろせるぜってもんです。まぁ、会社だって仕方なくってところもあって、苦渋の決断ってところもあったはあったですけどね、結局そうそうに厚生年金基金をギブアップして確定拠出に乗り換えたところが大手企業でした。

厚生年金基金というのは確定給付型の年金制度です。社員の定年後に支払う「給付」額を先に確定しておいて、会社が運用し準備するから確定給付。一方で確定拠出年金は、会社は毎月の「掛金」を確定するだけで、運用するのは社員にお任せという仕組みです。名前は似ているけど大きな違いですよね。

ちょっと想像してみてくださいね、定年後は厚生年金の上乗せとして会社から月3万円終身で年金を保障しますよっていわれているのと、今給与にちょっとお金を上乗せしてあげるから、そのお金を運用してしっかり将来に備えてねって言われるのって大分感じが違いますよね。

特に当時はなんでもイケイケだった高度成長期&バブルの名残があって、国や会社にお任せしているのが間違いないんだ!って言う時代だったので、確定拠出年金って「いいよね」って言う人がほとんどいなかったんです。

それに、確定拠出年金って資産運用、つまり投資です。

当時は投資に関しての情報も今より少なかったですからね・・・投資と言うと、ちょっと悪い人がこっそりニヤつきながらやるもので、素人がやるもんじゃない。ビギナーズラックでたまたまうまくいってもしょせんはロシアンルーレット、ある日ドカンと悪い事が起こるよ、くわばらくわばら、みたいな感じです(笑)

多分ある程度昭和の記憶がある方にとって、確定拠出年金ってね~、好きになれないね!っていう人の方が多いと思います。言ってみれば、確定拠出年金は昭和の裏切りの代名詞ですから(笑)

では、なぜ今iDeCoか?

正直iDeCoって根本的に確定拠出年金と何も変わっていません。加入できる人が増えたってだけで、加入者が自ら運用するものって、15年前にみんなが嫌だっていった点も変わっていません。

じゃあ、なんで状況が変わったの?

やっぱり確定拠出年金をやらないといけないよねって、いよいよ覚悟を決めたってわけです。

だれが?国です

これから日本の人口減るし、どう考えたって高度成長期みたいなことが再びってことはないだろうし、企業の役割も変わってきているし、ってことをみんなも分かってきたから、今回の国のリードで始まったiDeCoブームに乗り出したのです。

昔は自己責任って言われると、「えーなんなのよ、そっちがちゃんと責任とってよね」って世界でした。でももうだれも責任とれないんですよ。自分のことは自分でするってこと。

でも、自己責任って本当はめっちゃクレバーでかっこいいことですよね。

だって自分で考え、自分で行動し、自分の結果ととことん向き合う覚悟ができているってことでしょ、かっこいいでしょ!!

確定拠出年金はiDeCoってニックネームがついても本質は変わっていません。確定拠出年金のこれまでのブラックヒストリーを知らない人がiDeCoにとびついたとしても、自分で運用しなければならないってことは同じだし、投資の状況によっては損もしますからね。

でも、これからは本当に一人一人がしっかり自分の足で立ち、しっかり前を向いて歩く時代。

時代に振り回されるんじゃなくて、時代が産んだiDeCoを使いこなしてやるんだってくらいの気持ちで頑張っていきましょう!

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