適切な生命保険の考え方

遺族の生活を支える生命保険は、家計収入の担い手である社会人の責任でもあります。ただ保障を大きくすれば毎月の保険料の支払いが大変になるので「必要な保障を安いコストで手に入れる」ことが大切です。

必要な保障額は、「遺族の経費 - 遺族の収入」で試算します。

遺族の経費は、配偶者の一生涯の生活費、子供が独立するまでの生活費、子供の教育費、住宅費が主なものです。住宅費に関しては住宅ローンの返済中であれば、契約者死亡により返済義務がなくなりますので、遺族の負担は小さくなります。(団信加入の場合)

一方遺族の収入は、貯蓄や配偶者の収入の他国からの遺族保障があります。遺族保障は対象となる方の職業やそれまでの収入によって異なりますので、ぜひ一度「我が家の場合」についてきちんと試算されることをお勧めします。

遺族年金についての説明 (社会保険庁) 

www.sia.go.jp/seido/nenkin/shikumi/shikumi04.htm

 

例1:会社員の夫の遺族保障

 

妻に対して

・遺族厚生年金(夫の老齢厚生年金の3/4)妻が死亡するまで。ただし子どものいない20代の妻には5年間の限定支給 老齢厚生年金の算出方法 ※リンク

・中高齢寡婦加算(遺族基礎年金終了後妻自身の老齢基礎年金受給開始まで年間約60万円)

・妻自身の老齢基礎年金 (20歳から60歳まで加入の場合年間約80万円)

 

子に対して 

・遺族基礎年金(18歳まで)

        対象となる子どもが一人の場合:年間約100万円、

        対象となる子どもが二人の場合:年間約120万円

 

 

会社員の夫の遺族保障のイメージ

pension

 

例2:自営業の夫の遺族保障

 

妻に対して

・妻自身の老齢基礎年金 (20歳から60歳まで加入の場合年間約80万円)

 

子に対して 

・遺族基礎年金(18歳まで)

        対象となる子どもが一人の場合:年間約100万円、

        対象となる子どもが二人の場合:年間約120万円

 

 

自営業の夫の遺族保障のイメージ

pension2

 

自営業者の場合、遺族厚生年金は支給されない。ただし、夫が死亡時に年金制度に25年以上加入していた場合、過去に会社員経験があればその会社員期間に対応する老齢厚生年金の4分の3を遺族厚生年金として妻がもらうことができる。

関連記事

相続税対策としての生命保険
生命保険には、相続税のかからない資産を遺族に残すという役割もあります。これは生命保険金には、通常の相続税の非課税枠に加えて別建てで非課税枠が設けられているからです。 相続税の非課税枠=5,000万円 + 1,000万円 x 法定相続人の数 生命保険金の非課税枠 = 500万円 x 法定相続人の数   例えば、相続財産が現金で1億円、法定相続人が3名と……
適切な医療保険の考え方
日本の健康保険制度では、病気やけがの治療で窓口に支払うお金は実際にかかった医療費の3割です。しかもこの自己負担の額には、月約8万円という上限が決められていてそれ以上費用がかかった場合は、健康保険から払い戻しが受けられることになっています。   高額療養費制度についての説明(社会保険庁)  http://www.sia.go.jp/seido/iryo/……
住宅を守る保険
日本は木造住宅が多くまた住宅同士が密集している関係で火災が多いと言われています。そのような背景も影響し、日本には「失火責任法」という法律があり、重過失(故意に近い著しく注意を欠いた状態、寝たばこや揚げ物の鍋を火にかけっぱなしにして台所を離れたなど)以外は失火の責任を問わない、つまりもらい火で我が家が全焼してもどこからも補償は下りないのが現状です。   そ……
生命保険料の目安
国の遺族保障は職業やその方の収入などによって大きく左右されます。   例えば現行日本の制度では、小さい子供をかかえた会社員の妻は手厚い遺族保障が受けられますが同じく小さい子供を抱えた妻であっても自営業者の妻は生涯にわたって受けられる遺族保障はありません。 また会社員の妻が亡くなっても夫は遺族厚生年金をすぐに受け取ることができません。 受給年齢に制限が……